~Using the Serenity Prayer~
神様 私達にお与えください
自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを
変えられるものは変えてゆく勇気を
そして二つのものを見わける賢さを
AAのハンドブックにも書いてありますし、ミーティングのあとにこの祈りを唱和するところも多いので、AAメンバーには一番馴染みの深い祈りである平安の祈りには、以下のような続きがあります。
Living one day at a time,
今日一日を生き
Enjoying one moment at a time,
その時々を楽しみ
Accepting hardship as a pathway to peace,
困難は平和へと続く道として受け入れさせてください。
更に続きもありますが、原文はキリストとかアーメンという特定の宗教の文言がでますので、私はキリストは「神」に、アーメンは割愛して読んだりしています。(僕はハイヤーパワーはなんか気恥ずかしくて、「神」のほうが好きです。)
さて、この「変えられるもの」「変えられないもの」を日々意識することは、再飲酒を防ぐためにはとても大事です。自分に変えられないものを変えようとすれば、人との軋轢が生じたり、腹が立ったりすることがしょっちゅうあり、それは依存症患者にとって致命的な精神状態を生みます。
また、「変えられるもの」は目に見える行動だけでなく、自分の内面も含みます。ためしに、私が考えるそれぞれのものを挙げてみましょう
変えられるもの | 変えられないもの |
自己評価 | 他者からの評価 |
自分の行動 | 他人の行動 |
自分の考え | 他人の考え |
自分の行動 | 反射的に出る 恐れや恨み |
他にも色々あると思いますが、いま思いついたのはこんなもんです。どういうことかいくつか例を挙げましょう
あなたは車に乗っていて、無理な割り込みをかけられました。反射的にとても腹をたてました。ここまでは変えられないものです。反射的にでる感情は神から与えられたものです。あなたは、怒りに任せて相手に煽り運転をしかけ、相手は事故を起こしあなたは逮捕されました。これは自分の行動ですから変えられます。平安の祈りを唱え、車間距離をとれば避けられたことです。
あなたは上司からの評価をあげようと、躍起になって仕事をしました。しかし上司のボーナスの査定はCでした。あなたはAを目指していて、自分にはその価値があると感じていたので腹が立ちました。上司はなんで自分のことをわかってくれないのだろうと恨み、こんな人の元で働かないといけないなんて情けないと自己憐憫に浸ります。しかし、他者からの評価は変えられないものです。あなたは自己評価を変えることならば出来ます。あなたは、過剰なプライドや評価されなくなって会社に居場所がなくなる恐れ、人より抜きん出て出世したいという過剰な欲求から、間違った自己評価をしていたかなと自身の行動や仕事を吟味します。そして、自分の成果を出すことだけに注力していて、部下のサポートや新人許育を疎かにしていたことに気づきます。謙虚な気持ちで評価をうけいれ、自身をよくみてくれていた上司に感謝します。そして、来期はもっと他者と協調して、個人でなく部門として、今季より高い成果をあげて、今度こそA査定を勝ち取るのだと心に誓いました。すばらしい!
あなたのお母さんは、いつもあなたに干渉します。子育ての方針に口を出したり、いい大人になったあなたに対しても、ああしろこうしろと自分の考えを押し付けます。あなたは腹を立ててお母さんに対して暴言を吐きました。心の中は、なんで私が感じるようにお母さんも感じてくれないんだろう、なんでわかってくれないんだろうという恨みや自己憐憫でいっぱいです。さて、お母さんの考えを変えることはできませんが、あなたの行動は変えられます。まずはお母さんにたいして暴言を吐いたことを勇気を出して埋め合わせすることにしました。お母さんに率直に暴言を吐いたことをあやまりました。その後も相変わらずお母さんは干渉をやめませんが、あなたはその言葉の中から、自分が反省すべき点や行動を変えるべき点だけを汲み取り、そのことに関してのみお母さんに感謝しました。腹が立つこともありますが、うまく距離をとったり、平安の祈りを使って、恨みにまかせて相手を傷つける行動をしないように心がけています。
このように、平安の祈りをうまく使って、心の落ち着きをとりもどすのです。もちろんうまくいかないことも沢山ありますが、傷つけた人がいればきちんと埋め合わせをし、それ以上自分を責めないことです。神に許しを求めたらそれでおしまい。僕らは聖人でもなんでもないんですから。今日一日を楽しんで生きましょう。
12 Step and me 平安の祈りを使う Click To Tweet