~Remembering that alcoholism is an incurable, progressive, fatal disease~

世の中には、いろいろなアレルギーを持っている人がいます。筆者の知人で、重篤なそばアレルギーの持ち主がおり、蕎麦を食べれば非常に危険な状態になるそうです。その人はそば打ちをしている側に近づくだけで、そば粉を吸引したことによる症状が出るそうですので、不便だろうなと思います。

その知人は、そばを普通の人のように食べられるように、命の危険を犯して努力することはありません。食べてみたいという気持ちはあり、不便を嘆くこともあるそうですが、仕方ないことと受け入れています。

我々アルコール依存症者はどうでしょうか。ビッグブックに「医師の意見」を寄せたシルクワース博士は、アルコホリズムの本質が肉体のアレルギーと精神の強迫観念だと喝破しました。我々の肉体は、精神と同様に異常で、治癒することはないと言うことを認める必要があります。たくわんがきゅうりに戻ることはないという例えもまた秀逸ですね。それでも、我々は自分が酒をコントロールして飲めない体だとはなかなか認められず、命の危険を犯して飲み続けました。

私の勝手な想像ですが、アルコホリズムを専門とする医師であるシルクワース博士が、アルコール依存症は治癒することがないと認めるまでには、いろいろな葛藤があっただろうと思います。プロとしてのプライドや医師としての意地などを手放す必要があったのではないでしょうか。博士は、アルコホリズムが自分の手には余ると無力を認めたことで、逆に依存症治療に対する画期的な方法を生み出すきっかけをつくり、依存症治療の歴史にその名を残すことになったのです。ただの偶然とは考えられないほどの大きな示唆を、我々依存性者に与えてくれているとおもいませんか?

一度アルコール依存症になれば、飲んでいる限り症状は進行しますし、行き着くところは死です。しかし、治癒しない病気であったとしても、それ以上の進行を止めることさえできれば、生き続けることができます。アルコール依存症の回復とはそういうことです。もしかすると、医学はいずれ、依存症を完治させる方法を見つけ出すかもしれませんが、現状ではこれが精一杯なのです。

アルコール依存症であるという診断は、結局の所私達自身が自分に対して下す必要がありました。一度その診断を受け入れたら、もう無駄なあがきをしないことです。また、この病気はアレルギーですから、アルコール依存症になったことで自分を責めたりする必要はありません。「最初の一杯」に「24時間だけ」手を付けないこと。それが回復の第一歩です。安心してください。最初の第一歩以上に大変なことは、これから先の回復の過程には存在しません。トロッコをレールに乗せれば、砂利道を押して進むよりはるかに少ない力で進むのです。

12 Step and me アルコホリズムとは、治癒せず、進行性で、致命的な病気であることを忘れないこと Click To Tweet