Fending off loneliness

僕は飲んでいた頃、殆どの場合一人で酒を飲んでいました。
仕事が終わるとまず最寄りのコンビニに急いで行き、缶チューハイ(ストロングゼロ派です)を買い、3口くらいで流し込みます。その後、少し離れた別のコンビニで同じことをするか、立ち飲み屋に入り、一人で3本くらいビール瓶を空けるのです。
そうするとようやく人心地がつき、仕事の疲れやストレスからも開放され、電車に乗って家路につく気力が出てくるのです。
真っ直ぐに最寄り駅に着いた場合、駅から自宅まで徒歩だと30分はかかるのですが、その途中ですべてのコンビニにより、缶チューハイを買って飲んでゴミ箱に捨て、次のコンビニへと歩いてゆきます。
結婚後は妻もいましたが、ほとんどこのルーチンで飲んでいました。
人と酒を飲むのはあまり好きではありませんでした。大人数だと自分がどのように振る舞えばよいのかわからず、緊張で飲み過ぎ、結果ブラックアウトし迷惑をかけることが多いため、できるだけ避けていました。
自分と同じような飲んだくれの友人や同僚と、少人数で飲むときだけ、安心した気持ちで飲んだものです。

人間関係を築くよりも、まずは酒を飲むことを優先していたため、友人というものは、大学を出てからというものほとんど出来ませんでした。古くからの友人も、私があまりに酒を飲むことで疎遠になることが多かったです。酒を飲んでの適当な女性関係や大言壮語に嫌気がさし、離れていった友人も多かったはずです。こちらから気まずくなって連絡しにくくなった友人もいます。友人の結婚式で渡すはずの祝儀袋から金を抜いて飲んでしまい、非常識な金額を包んでしまったことがありました。やはりその友人には飲んでいた間は、自分から連絡が出来ませんでした。

アルコホリズムは、孤独な病気と言われるそうです。私も最初は、人と接するための自信を得るために飲んでいたはずなのですが、いつの間にか目的と手段が入れ替わり、酒を飲むためであれば人間関係は平気で犠牲にしてきました。酒を飲めない友人との集まりは避けました。シラフではどうしても、劣等感を感じて人付き合いが出来なかったのです。

最初は酒を飲めば孤独感は消えていきましたが、徐々に、飲んでも孤独感は消えなくなりました。自分はこのままどんどん人間関係を失い孤独になっていくのだという確信めいた恐怖、そしてそれを打ち消そうとして酒を飲む。酒によって更に孤独になる。自分が蟻地獄にはまり込み、絶望的な状況に陥っていることは、酒に狂っていた頭にも、明確にわかりました。

幸いに私は家族を失う前に酒が止まりました。仕事関係の付き合いも、年齢相応といえないまでも、少しはあったため、酒が止まったあとその関係からの仕事も頂いたりしております。自分が失った人間関係を思い、後悔の念がわくことはありますが、それでも自分が失わずにすんだものに目を向け、感謝するべきなのでしょう。

アルコール依存症者は孤独で、人との友情や協調関係を築く能力を大きく失ってしまっています。私も例外ではありませんでした。そのため、自助グループにつながってからも、人とどのように接したら良いのかわからない。フェローの食事やカラオケに誘ってくれる仲間のことも、相手にどう思われるかという恐れから前向きに付き合うことが出来ず、うっとおしく感じたこともありました。

しかし、その気持ちはミーティングに出続ける中で、消えてゆきました。ここにいる仲間は皆、自分と同じように考えていて、同じような欠点を持っている。皆酒に苦しみ、生きることがどうにもならなくなっていた同士であること。どんなに好きになれない仲間でも、その話が自分に大きな力や経験、希望を与えてくれること、自分もそこにいて正直に話をするだけで、きっと苦しんでいる仲間の力になれるのだという確信。僕は仲間から自己肯定感を与えてもらい、人との関係から暖かさを感じる力を与えてもらいました。自分の中に漫然と存在する、誰も自分のことをわかってはくれない、自分は何物の一部にもなれないと言った不全感、自分と社会との間に膜のようなものがあり、断絶されているという感覚が、消えてゆきました。

スポンサーをお願いするということも、最初は大きな抵抗を感じていました。自分が他人にありのままの正直な話をしなくてはならないということが嫌でしたし、自分などのために時間を割いてもらうのが申し訳ないと言う気持ちもありました。しかし、そういった抵抗感も、ミーティングに出ていく中で消えていったのです。
スポンサーをお願いしたら、飲みたいとき、苦しいときに連絡ができるようになりました。飲んでいた頃の自分は、困ったことがあっても人に頼るなどとんでもないと思っていました。自分の弱みを知られたくない。自分のことはなんでも自分で解決したい。人に対する信頼がなく、また自分が無力であるということがわからず、なんでも自分で取り仕切ろうとしていました。仲間の中で、少しずつステップを使った考え方に感化されていたのでしょう。

酒をやめたいという方には、まずは人に助けを求めること、自助グループに参加することをおすすめします。趣味の人間関係を持つことなども良いと思いますが、孤独を取り去るための方法は、まずは自分のことを心底理解してくれる仲間とのつながりを持つことだと思います。それは自助グループの仲間をおいて他にはいないのではないでしょうか。

12 Step and me 孤独を取り払う Click To Tweet