アルコール依存症者は仕事をいつから始めるか。仕事上の注意点

アルコール依存症者は、仕事を失ったり、休職した状態で自助グループにつながってくることが多いです。一時的に生活保護を受ける方も沢山いますが、多くの人はその後仕事に就かれると思います。
いつから仕事を始めるか、また仕事をしながら飲まない生活を維持する上で必要なことについて、私の考えを書いてみたいと思います。

仕事をいつから始めるか

これは人によって千差万別です。もともとの業務スキルや業務経験の有無は人によってまちまちです。仕事をしたいと思えばすぐに始められる人、職業訓練からスタートする人、色々でしょう。年齢的にも、若い人はすぐに仕事が見つかりますが、高齢であれば難しいのは一般の人々と同様です。私のみている限りだと、スキルや経験の多い人で飲まなくなってから1年~2年で仕事を再開されることが多いようです。

個人的に仕事を始めても安心だと思う人は、最低でもステップを5まで取り組んでいます。理想的には9まで取り組んでいたほうが良いとは思いますが、埋め合わせはすぐに出来ないこともありますし、仕事をしながら少しずつ埋め合わせの行動をしていくという方が現実的に多いと思います。

仕事をすれば、業務上のストレスに加え、依存症に対する世間の無理解といった困難と直面します。そういったときに、酒に手を出してしまうほど気持ちを乱されずに、平静な気持ちで対処していく必要があります。

仕事のストレスで飲んでいた方であれば、どういったストレスが恨みや恐れに繋がり、どういった本能が傷つけられ、どういった欠点が発動し、生き辛さに結びついていたのか、自己理解と対処スキルが十分でなければ、同じようなストレスに晒され続けたときに、酒に手を出してしまいます。

仕事上の注意点

●飲んでいた頃と同じようなペースで仕事をすることは諦める

飲んでいた頃は、バリバリ仕事が出来ていたような気がする方もいるのではないでしょうか。それは、仕事でどれだけ無理をしても、酒で体や心を麻痺させる事が出来ていたからです。ドーピングしていただけで、自分の能力ではないと思うのが良いと思います。どれだけ酒をやめていようが、自分は健康な人とはやはり違い、無理のきかない体だと認める必要があります。てんかんならば車の運転は諦めるでしょうし、がんなどの大病であれば、治癒後は以前と同じような無理はきかないと考える方が多いでしょう。依存症も重大な疾患です。欠格事由として、心身の無理がきかないと思ったほうが良いです。
以前と同じような成果を出そうとしたり、失ったものを取り戻そうと無理をしすぎない事が重要です。無理をせずに仕事をしていると、案外飲んでいた頃より安定して成果が出せて、周りも評価してくれたりするものです。焦らず、ゆっくり。

●完璧よりも誠実であることを目指す

依存症者は完璧主義です。大抵無意識に自分自身に無茶な要求を課しています。完璧であること、人から高評価を受けること、認められること、そういったことは諦め、かわりに今日一日、「自分自身ができる範囲」で、誠実に仕事をすることです。完璧であることを目指して、実際に完璧であることなど結局人間には不可能です。しかしながら、誠実であることを目指して誠実でいることは可能です。

●信用を取り戻すためには、時間がかかることを覚悟する

酒で周りに迷惑をかけ続けて来た場合、復職後の嫌味の一つも言われてもしかたが無いと思います。しかしあまり気にせず、今日一日できることを誠実にやるだけです。できることはそれしかありません。変えられるものと変えられないものを見分ける賢さを。ですね。

●酒の席での振る舞いを覚える

酒席には絶対に出ないという人の考えを否定はしませんが、酒席は多くの人にとって、親睦を深め、仕事を円滑に勧めるためのコミュニケーションの場です。個人的には毎回参加はしませんが、2回に1回位は断れる飲み会でも参加します。自分が飲めないことは、あまり自己主張せずに、「私は飲めないので、烏龍茶にします」程度しか言いません。理由を聞く人がいれば、健康上の理由でとか、酒はやめたので、とか答えれば十分と思います。自助会のルールと同様、「どこまで自分のプライバシーを明かすかは自分で決められる。」です。もちろん依存症者であることを明かすのも構いませんし、明かさないのも構わないと思います。その時々で自分で判断することです。

自助会では、自分のことよりも仲間のことに目を向けることを教えてくれると思います。それは酒席でも使えます。楽しくお酒を嗜んでいる同僚に、話題をふってあげるとか、お酌をしてあげるとか、飲めないなりに一緒に楽しめるよう配慮してあげましょう。ビッグブック第7章に書いてあります。「アルコールが出る場で、昔は良かったとため息をつきながら、浮かぬ顔をしている必要がどこにあるだろうか。もしそれが楽しい席なら、そこにいる人達の楽しみを増すように努めよう。商売の席なら、商売の話に熱心に取り組もう」
飲めない自分に目を向けるより、その場にいる人々に目を向け、役に立てるよう務めるのが霊的な態度と思います。

●仕事中も即座にスポットチェックの棚卸しができるようにする

仕事をしていると、腹が立つ事など沢山あります。依存症者でなくてもそれは同じですし、腹を立てて構わないと思います。ただし、気持ちが乱れたときには、即座にスポットチェックをするようにしましょう。
私の場合は、PCのデスクトップにテキストファイルでステップ10の棚卸し項目をおいています。何かあればできる限り即座に棚卸しをします。傷つけた同僚がいれば、埋め合わせもできる限り即座に行います。「先程は言いすぎました。申し訳ありませんでした」など、率直にいえば十分と思います。
腹が立ってしかたない場合、トイレに行ったり休憩して間を置きましょう。そして、平安の祈りを唱える習慣をつけます。神を信じていない方も、形だけでも全く構いません。

●自助グループから離れない

仕事が忙しく行けなくなりました。そう言って自助グループを離れる人は多いです。365日仕事があるならば仕方ありませんが、通常休日があると思いますし、残業がない日は業務後に参加することもできると思います。その時々の生活の中で、時間を見つけて週一度でも月一度でも、決まった会場に行くようにすることをおすすめします。それだけでスリップのリスクを減らせます。スリップしてしまえば、仕事どころではなくなります。
そういえば、先日先ゆく仲間から、仕事中でもミーティングが始まる時間になったら祈っていますという話を聞き、感銘を受けました。
私の場合は、仕事の行き帰りにビッグブックを読んだりしています。参加出来なくても、自助グループから気持ちが離れないように。

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