~恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸しを行い、それを表に作った~

生き方の棚卸し

それでは12ステッププログラム前半の佳境、生き方の棚卸しに着手しましょう。最初に、ビッグブックの該当箇所を読んでください。二箇所あります。まずは第一章 ビルの物語 P20の1行目〜2行目(正確にはにはここはビルのステップ4〜5です)。次に、第五章 どうやればうまくいくのか P92の7行目〜P103の最後までになります。

棚卸しとは何をするのでしょう。私たちは自分の人生を、しっかりと振り返ります。そうして、3つのリストを作ることになります。それは、「恨みのリスト」「恐れのリスト」「性のリスト」です。うわぁ大変そうだ。と思った方は正直に挙手してください。大丈夫です。皆やってみる前はそう思うものなんです。しかし、恨みのリストなんて、まるで魔太郎がくる!!ですね。ご存知ですか?私はこれでも若いので!その世代ではないですが知っています。恨みをノートに綴って後々復讐するんですよね。12ステッププログラムでは、復讐ではなくステップ9のところで埋め合わせをしますので絶対間違えないでくださいね。

話がそれちゃいましたね。棚卸しは、あなた自身の大掃除です。ステップ3で、私たちは神のように振る舞うことをやめることと、神の意志を知ることを求められました。今まで私たちは無自覚にしろ、神の役目を自分で負ってきました。自分の意志ですべてを取り仕切ろうとあがいてきたでしょう。私たちはそのようにしか生きられなかったのです。それは身勝手で傲慢な生き方ではありますが、そうなったのはあなたの責任ではありませんのでクヨクヨしないで。神様は許してくれますって。

それより私たちの責任は未来をより良く生きるために、まずこのステップ4で、私たちの生き方がどのように間違っていたのか、私たちの欠点はなんなのか。それを明らかにすることです。それは私たち自身にしかできないことです(ただし神様は手助けしてくれますよ)。そして、間違いが明らかになれば、神の意志はおのずと見えてくるはずです。

棚卸しの表

それでは、作成するリストがどんなものか、ちょっと見てみましょうか。下記の表をご覧ください。 (EXCEL形式の棚卸し表のダウンロードはこちらからお願いします。)

*ステップ4の棚卸しのやり方は、このやり方だけでなく他にもいくつか流派のようなものがあります。他にメジャーなのはライフストーリー形式というものです。ほかには「負債と資産」のリストとか。(「負債と資産」を使った棚卸し方法は、「Back To Basics」というジャパンマックから翻訳が出ている本に詳しく書かれています。)筆者はこちらで紹介するビッグブックをもとにした方法をスポンサーから手渡しを受けており、他の方法の経験はないため、その方法を紹介させていただきます。他のやりかたも、実践する機会があれば、紹介したいと考えています。棚卸しに着手される際は、あなたのスポンサーのやり方に従ってください。あなたの事をよくご存知のスポンサーのやり方に合わせるのが良いと思います。

恨みのリスト
No. 恨んでいる相手 その理由 傷つけられたもの 自身の欠点 相手にどのようなことをしてしまったか
1 Aさん 仕事のミスをひどく罵られた 自己評価・野心 配慮の欠如 Aさんは上司なのに、反発してわざと指示を無視した
恐れのリスト
No. 恐れている相手 その理由 傷つけられたもの 自身の欠点 相手にどのようなことをしてしまったか
1 Bさん 仕事で詰められることが多く、契約を失うのではと思い怖かった 自己評価 恐れ おかしいと思うようなことにも相手の言うことには従った
性のリスト
No. 性についての相手 その理由・内容・自分が人とは変わっている部分 傷つけられたもの 自身の欠点 相手にどのようなことをしてしまったか
1 Cさん 浮気した 自己評価 身勝手 相手が傷ついても気に留めなかった

内容はサンプルになりますが、ざっとこんな感じで作成していきます。ビッグブックを読んでいただけた方は、ビッグブックの記載のサンプル表に、「自身の欠点」と「相手にどのようなことをしてしまったか」という列を追加したものだと気づかれると思います。表を作っていくと明らかになるのですが、おそらくあなたの欠点には、メインの欠点というべきものが一つか二つ出てくると思います。それをはっきりとさせるための「自身の欠点」行です。また、ステップ8で埋め合わせの表を作成するのですが、その際にこの棚卸表をうまく利用できるよう、「相手にどのようなことをしてしまったか」を追加しています。「恨みや恐れ」から発生した「性格上の欠点」に振り回されて、相手を「傷つけるようなことをする」のが、今までの私たちの生き方です。ステップに取り組むことで、これは「古い生き方」になってゆきます。

「傷つけられたもの」と「「自身の欠点」もリスト化しておきますので、このリストから選ぶようにしてください。

傷つけられたものの一覧

  • 自己評価(自尊心とかプライド)が傷つけられる恐れ

  • 存在そのものが傷つけられる恐れ

  • 対人関係が傷つけられる恐れ

  • 身の安全が傷つけられる恐れ

  • 性関係が傷つけられる恐れ

  • 野心が傷つけられる恐れ

  • 財布の中身が傷つけられる恐れ

  • 財産が傷つけられる恐れ

自身の欠点の一覧

  • 恐れ

  • 不正直

  • 利己的

  • 身勝手

  • 配慮の欠如

身勝手と利己的の違いはわかりますか?身勝手というのは、まるで2歳児が自分の思うようにならないと癇癪を起こしてフォークやコップを投げたりするあれです。大人でもたまにやりますよね、似たようなことを。利己的というのは、政治家ができもしない公約を掲げて票をあつめて当選するような感じです。

そうすると今度は利己的と不正直の違いがわからなくなりますかね。不正直はもっと反射的な感じです。私事ですが最近仕事で作業中にミスをしてお客様の業務に影響がでました。私はとっさに、今はなんの作業もしていませんと嘘をつきました。そんなのが不正直としましょうか。

(この不正直の根底には、自己評価やプライドや野心などが傷つけられるのではないかという恐れや、他者への不信がみえますでしょう?そんな欠点まみれの人間が筆者の姿なのです。何もしなければ筆者はいずれ恨みや恐れに振り回され、しんどくなって再飲酒します。だから筆者は、毎日の12ステップの実践を必要としています。)

棚卸し表作成の進め方

ビッグブックにかかれている通り、徹底して、正直にやることの他には何一つ重要なことはありません。ですが、それはとても困難です。誰しも人に言えないようなことはお持ちだと思いますが、アルコールで狂った生き方をしてきたのならば、なおさらです。人に話すどころか、表に書き出すこともできないようなことがあるのではないのでしょうか。ですが、徹底して正直にやってください。勇気が出なければ、勇気が出るまで、ステップ3の最後に使った祈りを使いましょう。

表作成方法にはコツがありますので、お伝えしますね。まず、表を一行一行横に書いていくことはやめてください。どこかで書き出すのが困難な出来事が出てくると、勇気がでて進めるようになるまでそのつど筆が止まってしまいます。まずは、恨みと聞いて思いつく人の名前を、あなたの幼少期から現在まで、時系列に書き連ねてください。

その際、徹底してやるとは言っても、思い出せないようなことを無理して思い出す必要はありません。あなたが今できる範囲で徹底してくだされば結構です(ただし、恐れや勇気のなさから、あえて目をそらして表に書かないようなことをしてはいけませんよ)。どんどん恨んでいる人の名前を書いていきましょう。後で思い出したらその時追加したらいいんです。恐れも性のリストも同じです。まず縦に相手の名前を思いつく限りすべて書きだすのです。

また、自身の欠点や相手にしてしまったことを書く際には、相手の過ちに目を向けてはいけません。どのようなことでも自分が一方的に悪いということはそうそうないものです。今は不当な事をしたのは相手の方で、自分に否があると思えないようなことも、リストを作成しているときには出てくるでしょう。しかし、徹底して自分の側のあやまちを見つめてください。

それでは、あなたが重大な犯罪の被害者で、加害者に恨みや恐れを持っている場合はどうするのでしょうか。例えば、暴力・虐待・性犯罪の被害にあった等になるかと思います。あなたの側に過ちはあるのでしょうか。あなたが性犯罪にあったのは、短いスカートをはいていたあなたの過ちだというのでしょうか。あなたが虐待されたことに関して、、幼かったあなたに何か非があるというのでしょうか。いいえ!違います。それはあなたの過ちではありません。このケースの場合、あなたは、現在のあなたがその時の恨みや恐れをもとに、加害者以外の他者を傷つけてしまったといったことをリストに書きましょう。

私たちにできるのは、自分自身の大掃除と、自分の過ちを正していくことだけです。相手のそれを正そうとしたくなるのは、私たちが神の役割を演じようとしている兆候です。私たちは神ではないので、相手を変えることはできません。無駄な努力は諦めましょう。どうしても相手を許せない場合、祈りを使いましょうか。ビッグブックP97の最後から3行目〜2行目に、「このひとは病んでいるのだ・・・」から始まる祈りが記載されています。

性について

このリストを避けたい方もいるのではないでしょうか。しかし人間が生きる以上、性を避けて通ることはできませんので、勇気を持って書き出しましょう。個人的な話で恐縮ですが、私の場合は女性関係は性のリストに行き着く前に、恐れのリストの方で相手の名前が出てきました。まぁ恐れと重複しても性のリストも書きましょう。恨みや恐れのリストは、人によって大幅に内容が変わるようなことはないと思いますが、性のリストは本当に、千差万別みたいですよ。

「もし自分にとって性が大きな問題なら、人を助ける方に力を注ぐべきだ」ビッグブックにはそう書かれていますね。まるで性欲を部活や勉学で解消するように言われている中高生のようで、最初私は受け付けなかったのですが、最近は少しわかるようになりました。相手と性的な関係を持つことだけが、自分を満足させるわけではないんですね。愛にはいろいろな表現の方法があり、自分の今の立場で許される表現と、許されない方法があること。前者の方法でも大きな満足が得られることが、少しだけわかるようになった気がします。

棚卸し表作成にどれくらい時間がかかるの?

棚卸表作成に時間をかけすぎてはいけません。集中して取り組める時間を作りましょう。それぞれの表を一週間で作成するようにお願いしたいところですが、コツがわかるまで少し時間がかかるかもしれませんので、合計で一ヶ月というところでしょうか。

途中で一度か二度、スポンサーに進捗状況をレビューしてもらうようにしてください。やり方を間違えていればそこで気が付きますので。

どうも一年かかっても表ができない方は、そのまま12ステップの取り組みを断念してしまわれるケースが多いようです。もちろん再飲酒などをきっかけに再度取り組まれる方も沢山います。取り組まれる気になったのであれば結果オーライとしても、それは自身の苦しみを長引かせただけではないかと思うのです。それに、そのまま二度と酒が止まらず、死んでしまう人もおります。

次のステップに進む前に

さて、次のステップに進む前に、リストを読み返してください。勇気のなさや恐れから、書くことを避けたようなことはありませんか?そういったことがもしあれば先に進むのは無意味ですので、書けるまで祈ったり、正直に話せる自助グループのミーティングに行ったりしましょう。

裏技ですがおすすめがあります。一番書きにくいことを、信頼できる一人の人に先に話してしまうのです。多くの場合あなたのスポンサーになるでしょう。次のステップの先取りのようですが、私はそれでふっきれて、他のことがすべて書けるようになりました。

それでは次のステップに行きましょう。あなたは今作成したリストをもとに、信頼できる一人の人に、あなたの過ちについてお話することになります。大変そうですか?大丈夫です。あなたは自分と神様に正直になって、ステップ4の棚卸し表を作ることができたのです。これは素晴らしいことですよ。この先のステップもきっとできます。恐れずに、ステップ4の次は、間髪おかずステップ5に進んでください。

ステップ5へ進む 12 Step and me ステップ4 Click To Tweet