~自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった~

「信じる」とはどういうことか

あなたは自分の問題は自分で解決するべきだという考えをお持ちではありませんか。あなたの抱えているアルコールの問題については、特に自分でどうにかされようと努力してきたと思います。でもどうにもなりませんでしたよね。私たちの力には限界があります。依存症の問題を解決する能力は、残念ながら私たちにはありません。ですが、私たちの問題を解決してくれる力は存在します。それは私たちを超えた大きな素晴らしい力です!これは助けを求めるステップです。私たちの能力を超えた問題に対して、他に何ができるというのでしょう。

こんな話をすると、逃げ出したくなりますでしょうか。ブラウザのタブを閉じるだけですので、簡単だと思いますが、もう少し話にお付き合いください。筆者もステップ1の文章が堅すぎたかなと反省しておりますので、表現もやわらかくしたいなぁと思います。

40度の熱が出たとき、あなたはどうしますか?迷わず医者に行かれると思います。熱に加え関節の痛みや咳や痰があれば、あなたはおそらくインフルエンザを疑うでしょう。そして医者にかかり、薬をもらい、服薬するでしょう。あなたはそういった行動に移す前に、その苦しみは医者に行けば解決されるということをほとんど確信されていると思います。自力で40度の熱を治そうとする方はあまりいらっしゃいませんよね?辛いだけですもんね。ネギを首に巻くといいんでしたっけ?

自転車のパンクではいかがですか?自力で直せる方も沢山いらっしゃるでしょう。あいにく私は不器用ですので、自力で直そうとすればタイヤチューブをはめ直すこともできなくなりますし、イライラして物や家族に当たり散らすかもしれません。気持ちや時間に余裕があれば、自分でやってみるかもしれませんが、結局諦めて自転車屋に行って直してもらうことになる気がします。この場合も、自転車屋に行けば問題が解決することを私は過去の経験によって信じています。ですので、自分にはチャリのパンクを直す能力がないのだと無力を認め、その力を持った自転車屋にまかせるという信心深い行いをするのです。信心深いのでお布施もします。相場は1000円くらいでしょうか。

とにかく、あなたはその問題が自分には解決できないのだという事を認め、それを解決してくれる力が他にあることを確信していれば、抵抗なくそれに頼るでしょう。無力を認め、信じ、委ねるはずです。高熱や、癌のような病気ならばだれしも医者にたよるので、無力を認めて頼るのは簡単ですが、アルコールに対しては難しいですよね。何しろ殆どのひとはアルコールをコントロールして飲んでいるのです。自分にそれができないとステップ1で認めなくてはならないのは、辛かったのではないかと思います。

それでは仮に私たちが医者を見たことがなかったらどうでしょう。最近アマゾンの熱帯雨林に住む、「ヤノマミ族」という先住民族に関するドキュメンタリー本を読みました。彼らは医者を知らず、病気はシャーマンがまじないで直していました。そこに文明社会から医者が来ました。最初は医者を信じず、シャーマンに頼っていた彼らも、大病を次々と治す医者の姿を目の当たりにし、最後には医者を頼るようになったのです。この話には文明サイドによるヤノマミ族の伝統文化の破壊といった別のテーマもあるのですが(しかも、乳児死亡率が減った結果、口減らしの子殺しが増えたそうです。)、それは脇に置いておきましょう。信じるとはとどのつまりそういうことです。まずは希望がなければ、人は信じることができません。その希望は、信じる対象の実績によってもたらされます。もし医者がヤブ医者で、シャーマンよりも患者を助けられなければ、ヤノマミ族の人々は決して医者を信じなかったはずです。逆に、希望を感じれば、人はどんなものでも信じるのでしょう。

実際には医者でも直せない病気はたくさんあります。現に依存症をなおす薬はありませんし、治療法がわからない病は他にも沢山あります。私たちは皆そのことを認識していますが、それでも私たちは現代の医学を信じています。医学を信じなければ、健康に生きていくことなどできませんから。

信じるようになった依存症者の話

ここでビッグブックを開いてください。第一章 ビルの物語 P12の後ろから3行目~P19の後ろから6行目までが、ビルのステップ2に関する箇所になりますので、読んでください。ビルは、学生時代の酒飲みの友人(エビーといいます)に再開します。そして、ひどい酒飲みだった彼が医者に見放されたあと、ある宗教的なプログラムを実践し、回復したことを知ります。

(実は、エビーが実践したプログラムは、メソジスト系のキリスト教団体のオックスフォードグループが提唱していたもので、12ステップの元になったものということです。それは、罪や心の誘惑を他の信者に告白すること・自分の生き方を神の意志に委ねること・直接的、間接的に不当な扱いをした相手に損害賠償すること・神の計画を知り、実践することの4つを遵守することを求めた、厳しいものだったそうです。12ステップは、この完璧さ求める考え方を手放しており、代わりに「成長」を目指しています。それにしても、「埋め合わせ」ではなく「損害賠償」ですからね。厳しいです。)「アルコホーリクス・アノニマス青年に達する」という本によると、エビーはビルにもう少しわかりやすく説明したようです。「惨敗したことを認める。自分自身に正直になる。誰かにそれを思いのままに語る。傷つけた人たちに償いをする。報償を求めずに、惜しみなく献身するように努力する、そしてどんな神にも、試しにでもいいから、いると思っている神に対して祈る。」とのこと。

ビルは最初、神が回復させてくれたという友人の言葉に反感を覚えます。しかし友人のアルコールからの解放、そして内面の回復という事実から目をそむけることはできません。そして、自分もこの友人のように回復できるという希望を持ち、自分の偏見をとりさり、とにかく信じてみようという気持ちになります。

どうやって信じられるようになるのか

あなたは、あなたの飲酒の問題が自分を超えた力によって取り除かれるということを信じられますか。もしあなたが数日前、数週間前まで飲んでいたアルコール依存症者ならば、恐らく半信半疑か疑いのほうが大きいといったところではないでしょうか。信じるためには希望が必要です。そして、世の中には経験と希望と力の分かち合いの場である自助グループがあります。自助グループのミーティングに参加してください。多くの絶望した依存症者たちが希望を見出し、回復していく場です。数回ではなく、何度も参加してください。自助グループ通いは効果が出るまでに時間のかかる薬を飲むようなものです。少しずつ希望を感じられるようになると思います。

一つ心がけてください。自助グループにはいろいろな依存症者がいると思います。年齢、性別、職業、バラバラです。自分との違い探しをやめましょう。そうして、自分と他の仲間の共通の問題を探してみてください。そして、回復している仲間はどうやって問題に対処しているのでしょう。そこにあなたの問題を解決するための糸口がみつかります。

「自分を超えた大きな力」に抵抗のある方は、ビッグブックを開き、第四章 「私達不可知論者は」を読んでください。大切なのは2つ。一つは、目に見たものを信じる素直な心です(アルコール依存症者から失われているもの一つではありますが。。。)。この方法で回復している多くの依存症者がいます。もう一つは、「自分なりに理解した神」で良いということです。人から神に関する考え方を押し付けられることはありません。それならばやっていけそうな気がしませんか?

ただし、この章に、神を見つけられるのは、「自分のいちばん深いところ」であり、「神を見つけられるのはそこだけだ」と書かれていることに注意してください。最初は自助グループの仲間やミーティングを神様にするのも良いでしょう。最後まであなたの飲酒を心配していた亡くなったおかあちゃんとかでもいいですし。しかし最終的には、あなたはそれを自分の中に見つけ出さなくてはいけません。ステップの効果の一つは、あなたとあなたの内なる神の間にある障壁を取り除いていけるようになることなのです。

次のステップに進む前に

まず、大事なことです。以下三点を書き出して見て下さい。今時点で感じていることを書いてくだされば結構です。これらについては、ステップを進めるうちに考え方は少しずつ変わって行くと思います。

  1. あなたなりに理解した神(ハイヤーパワー)とはどういった感じのものか
  2. 何に神(ハイヤーパワー)を感じているか
  3. その神(ハイヤーパワー)はあなたに何をしてれるのか。

ステップ1でもお伝えしたとおり、12ステップに完璧さは求められません。どのステップも、完全に実行できたという人はいません。このステップを行っている段階で、「完全に信じる」ことは不可能です。この先のステップに取り組みながら、あなたの生き方が楽になり、かつて対処できなかった問題に対処できるようになるにつれ、信じる気持ちは強くなっていく事と思います。信じるために必要な、ステップを使った生き方がうまく行くという実績が積み上がっていきますからね。

今時点では、「信じて進んでみよう。」という気持ちがあれば十分です。あとは、助けを求めないといけませんね。近所迷惑にならない程度の声で、天を仰いで叫んでください。絶望の表情と切実な声色が作れるとさらに良い感じですよ。「神様!助けてください!自分ではもうどうにもならないのです!」あんまりふざけてると真面目な人に怒られますね。それでは先に進みましょう。

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