~私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた~

「無力」とはなにか

私たちがアルコール依存症者であるならば、変える事ができない事実が一つあります。私たちは今後の人生で二度とアルコールをコントロールして飲むことはできません。アルコールを飲んでいる限り、私たちの症状は進行し続け、より多くの問題を起こすことになります。アルコール依存症は致死性の病気ですので、最終的には死に至ります。アルコールがもたらす身体的なダメージが原因の病死や、自殺が死因となりますが、悪いことにそこに至るまでに私たちは人間関係の破綻に始まる社会的な死や、身近な人間に大きな苦痛を与えるという経験をするでしょう。

私たちはうまく酒を飲もうといろいろと工夫しましたが、結局普通の人のようには飲むことができませんでした 。そうして多くの問題を起こしてきました。

アルコールに対して無力を認めるということは、私たちが自分の飲酒をコントロール出来ず、自分には問題を解決する力がないことを認めるということです。そして、私たちはご自分の問題を解決するために、なんらかの助けを必要とすることになります。

どんな物事でもそうだと思いますが、自分の手に負えない問題を自分の力だけでどうにかしようとしているうちは、当然事態は好転しないものです。自分にはどうもこの問題は解決できないなと認め、解決できる力を持っている人に頼りだせば、良い方向に進んでいきます。それがなかなかできないのは、我々はみなコントロール欲求をもっていて、自分に物事が解決できないとはなかなか認めたくないからです。

何をもってアルコールをコントロールできないとみなすのでしょう。アルコール依存症の大きな症状は2つあります。ビッグブックを開き、「医師の意見」を読んでください。(35)の2行目〜(36)の8行目にそのことが書かれています。

身体のアレルギーと、精神の強迫観念

アレルギーのある人が対象のアレルゲンを体に入れれば、必ず症状が起きます。花粉症であればくしゃみや鼻水が出ます。食物アレルギーであれば、口の中が痒くなったり、蕁麻疹が出たりするでしょう。重篤なものだとアナフィラキシーショックで死んだりしますね。そしてそれらの症状を自分の意志で自由にコントロールはできませんよね。

アルコール依存症者も、アルコールに対して奇妙なアレルギーのようなものを持っています。一杯飲めば、適量でやめるということができず、次の一杯を求め続けてしまうのです。「医師の意見」では、「渇望現象」とされています。これが、アルコール依存症共通の症状の一つです。

もう一つの症状は、精神の強迫観念です。私たちは、自分の意志で酒を飲まずにいる力を喪失しています。飲んでいないときはいつもイライラしていて神経過敏となっていて、どんなに飲まないでいようと固く心に誓っても、あるとき「ふっと楽になる感覚」を求めて、取るに足らない理由で酒に手を出してしまいます。また、特に飲んではいけないようなときに限って酒に手を出してしまいます。私たちは飲む飲まないの選択能力を喪失しています。これが、アルコール依存症者の症状のもう一つです。我々依存症者は、肉体と精神の両方に異常を抱えているのです。

第三章 さらにアルコホリズムについて。特にP52の8行目〜P62の4行目に、どんなに酒をやめようとしたところで、最初の一杯に対しては全くの無力であること(精神の強迫観念)が、何人かの経験を交えて書かれていますので、読んでみてください。

思い通りに生きていけなくなった

なぜ思い通りに生きていけなくなるのでしょうか。大抵の場合、それは現実を正しく認識していないことが原因です。アルコール依存症は否認の病と呼ばれています。多くの依存症者は、最初アルコールをコントロール出来くなったこと、アルコールのために多くの問題を起こし、多くのものを失ってきた事を認めることができません。それは長年の飲酒が精神に及ぼすダメージの一つで、病気の症状です。それに、アルコール無しの生き方なんて、到底ムリだという諦めもあるでしょう。

否認には主に3パターンあります。「自分は依存症ではない」「やめようと思えばいつでも自力でやめられる」「酒さえやめれば自分には問題はない」

そうやって問題から目をそらしたまま、人生に問題を引き起こす原因となっているアディクションを使い続けます。現実を認識し、回復のための次のステップに進むためには、自助グループなどで、自分の問題にきちんと向き合い、正直に話し、また、同じ病気の仲間の話を沢山聞くことが必要になります。

先述した「医師の意見」に加え、ビッグブックの第一章 ビルの物語 P1の1行目〜P12の12行目を読んでください。アルコホーリクス・アノニマス創設者の一人、ビルが、アルコールの問題によって思い通りに生きていけなくなる過程が書かれています。あなたにも同じようなエピソードはありますでしょうか

次のステップに進む前に

12ステップに完璧さは求められません。どのステップも、完全に実行できたという人はいません。ただし、ステップ1は後に続くすべての工程の礎です。また、このステップが揺らぐと、アルコール依存症者は酒を飲んでしまう危険性が極めて高まります。

しっかりと自分の問題と向き合ってください。鍵は渇望現象と精神の強迫観念ですよ。自分には酒を飲まないでいるという選択能力がなくなっていること、酒で人生を台無しにするようなことをしてきたこと、飲んだらまた同じようなことをすることを認める必要があります。そしてそのことをしっかりと自助グループのミーティング等で語れるようになったら、次のステップに進みましょう。また、いくつか酒を飲んでしてきたことで酷かったことを、紙に書き出してみてください。

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